ロンドン猫劇場

Saturday, August 03, 2013

ロンドンは平らな街だった。先が見えるともっと先へ歩きたくなる。街中で立ち止まって地図を確認していると老婦人が話しかけてきた。
行き先を告げると「ああ、それならあそこに大きな木があるでしょう?その目の前よ」と100メートルくらい先の木を指差す。

大きな木が無理な剪定をされずにふつうに街中にあって、それがランドマークになっていることにやけに感動した。
細い路地も、坂もないからドラマチックな光景に出会うこともあまりないけれど、先が見通せる、穏やかな街並は、寛容で私をごく自然に迎え入れてくれた。

それと、野良猫がいない。2度ほどみかけた猫はどちらもお行儀よく店番をしていて、私がただ写真を撮りたいだけの東洋人だとわかると背を向けて店の奥へと入って行った。(例1↓)


 「いらっしゃい。あんさんこの辺や見ない顔やね。どっからきたん?東京?それは遠いとこご苦労さん。ほな見ていっておくんなはれ。(ピント合わせてや)」

 「なんや店に用ちがうんかいな。かったるい東洋人やな。せっかくやし外でも見るかいな」

「用がないならさっさと他んとこ行ってくれへん?尾っぽでバイバイしたるわ。ほなな(ブレとるやんけ)」

美しい街は人の心を穏やかにする。帰国した日、夫も私もやけにイライラしていたのは、寝不足と湿気のためだけではないかもしれない。

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