Alhambra

Wednesday, August 31, 2011


学生の頃、スペインへ行った。

伯母から「カバン持ちで来ない?」とタナボタ的な話に乗ってそこで出会ったのがアルハンブラだった。
無機的な外観に反してその内部装飾は素晴らしく、宮殿内部にひとたび入ったが最後、頭は90度上向きに固定、という状態になってしまった人々のあとに、貴方も呆然と口をあけて続く、という自体に陥ってしまうのである。
スペインのある建築家にも「ここでは建築の概念さえも忘れてしまう」と言わしめているアルハンブラには、言葉では到底語り尽くせない、視覚のみならず感覚という感覚がひとつの受け皿となって文化、歴史、宗教が降り注いでおぼれてしまうような錯覚さえ覚える。
感動する、と文字にすると陳腐に感じられてしまうが、頭を思い切り殴られたようなショックを受けた。早い話が惚れ込んでしまったのである。ここに住み込んでアルハンブラ物語という小説まで書き上げてしまったワシントン・アーヴィングの気持ちがわかる気がした。
惚れ込んだら、その魅力にどっぷり浸かりたいと思うのは仕方のないことで・・・

・・・・というのが昔書いた卒論の前置き。(ほんとはまだダラダラと続く)
あれから何度も引っ越して環境も変わったにも関わらず、引越し先に必ず持ってゆくのが卒論とアンティークショップで購入したスペインの古いタイル。

この秋、久しぶりにグラナダに行くことになった。
その前に行ったのが2008年だから、もう3年振り。「毎年来るよ」とあの景色に約束したのに果たせていなかったから、楽しみというより自分の不実さに恐縮しながら足を踏み入れる、という感じ。電車で駅に到着したら最敬礼してしまうかもしれない。

念のため夫に私の灰撒き場を伝えておこうと思う。城で、いちばん風の通る場所。

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